片頭痛で悩んでいる人、多いですよね。
片頭痛は男性より低血圧の女性に多い疾患です。体調が悪かったり、天候の変化や季節の変り目で、片頭痛が悪化する女性はとても多いです。
でも仕事や子育てで病院に行けない。
そんな時、頼りにしたいのがドラッグストアの薬ですが、みなさんは頭痛薬を正しく選べていますか?
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そもそも片頭痛って何?
片頭痛の原因は、実はよくわかっていません。
有力な説として「セロトニン説」と「三叉神経説」があります。
●セロトニン説
セロトニンは神経伝達物質であり人間の思考に重要な働きをもっています。
セロトニンはストレス、疲れ、食物の刺激などで血小板から放出され、これが脳血管の一部を収縮させます。このとき血中のセロトニン濃度は急激に増えるのですが、すぐに急激に減少します。そうすると今度は血管が拡張されて血管壁に負担がかかり炎症(片頭痛の原因)が起こるというわけです。
●三叉神経説
三叉神経は脳血管の周囲にあります。血管が拡張するとそれを取り囲んでいる三叉神経が刺激されて発痛物質が放出され、炎症が起こります。
最近では三叉神経説が指示されるようになってきました。
症状
特徴的な症状は、ズキンズキンと脈を打つような拍動性の痛みです。「心臓が頭にある」と訴える人が多いほどはっきりとでます。
通常、頭の片側に起こり、痛みのともに吐き気などを訴えることも多いです。
片頭痛が起こる前に目の前がチカチカするような前兆症状を伴うことも多く、テレビの音や光などの刺激に敏感になる人もいます。
起きたときの対処法
片頭痛は頭の中の血管の炎症が原因で起こることが分かっています。そのため、頭を動かしたり歩いたりすると痛みが強くなります。
頭をマッサージしたり肩を揉んだりすることは逆効果です。
静かなところで安静にしましょう。
いろんなパッケージがあるけれど
ドラッグストアにいくと、実にたくさんの薬があります。
頭痛薬だけでも売場一面にずらっと並んでいるのですが、違いはあるのでしょうか。
ドラッグストアの薬は、数種類の薬が配合されているのが一般的です。
例えば、大正製薬でお馴染みのナロンエースですが、以下のような成分で構成されています。
イブプロフェン | 144mg |
エテンザミド | 84mg |
ブロモバレリル尿素 | 200mg |
無水カフェイン | 50mg |
※成人の1回服用量
一般の人には何のことがさっぱりでしょう。
鎮痛薬として注目する成分は、イブプロフェンだけです。
その他の薬は鎮痛効果を補助するためのもので、鎮痛作用にはあまり影響しません。
さらに、エスエス製薬の「イブA錠」の成分です。
イブプロフェン | 150mg |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | 60mg |
無水カフェイン | 80mg |
※成人の1回服用量
イブA錠においても、鎮痛効果はあくまで鎮痛成分であるイブプロフェンで判断します。
ナロンエースのイブプロフェン144mgに対して、イブA錠はイブプロフェンが150mg含まれています。よって、イブA錠のほうが鎮痛効果が若干高いと考えられます。
頭痛薬の薬は4種類だけ
頭痛薬を選ぶときはメーカーのパッケージだけでなく、含まれている成分もみてみましょう。
成分をみるとき注目するものは、主成分(鎮痛薬)です。
鎮痛作用を発揮する成分は、市販薬では4種類だけです。
アセトアミノフェン
もっとも安全性の高い解熱鎮痛剤。小児に使うならコレ、という代表的存在。
アスピリン喘息や胃粘膜障害などの副作用もほとんどなく、とても使いやすいです。
気をつけること
アセトアミノフェンは副作用はほとんど気にする必要はありません。
しかし、大量に服薬すると肝臓をやられることがあります。
市販薬の例
・タイレノール
・バファリンプラス
・ナロン錠
アスピリン
アスピリンはイブプロフェン、ロキソプロフェンとともに非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)に分類されています。この3つは親戚みたいな薬たちですね。
※非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs):「エヌセイズ」と呼ぶ。ステロイドとは副腎皮質ホルモンのこと。ステロイドはすぐれた鎮痛・消炎作用をもつが、副作用などが起こりやすいため通常の痛み止めとしては使われない。ステロイドと異なる鎮痛・消炎作用を持つ薬という意味で、ステロイドと区別するために「非ステロイド」と呼ぶ。
古くから、解熱、鎮痛、消炎を目的に広く使われており、その作用は比較的強です。
また、血液をさらさらにする効果もあるので、医療現場では血栓形成の予防や治療目的で、低用量のアスピリン製剤を用いることもあります。
ちなみに、アスピリンは「ピリン系」ではありません。正式名称は「アセチルサリチル酸」といい、非ピリン系です。ピリン系の薬でいわゆる「ピリン疹」のアレルギーを起こした人が、アスピリンをピリン系だと思いこんでいることが多いです。
市販薬の例
・バファリンA
・バイエルアスピリン100
・バファリンプラス
気をつけること
15歳未満の小児には使えません。特にインフルエンザや水ぼうそうでの発熱に用いると、インフルエンザ脳症、ライ症候群を引き起こす可能性があります。
また、痛風の人もやめたほうがいいですね。アスピリンは尿酸結石の溶解性に影響を与えるため、かえって痛みが悪化することがあります。
さらに、妊婦さんもやめたほうがいいです。特に妊娠末期(出産予定日12週以内)の方は、胎児に悪影響があるとされています。
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の副作用として有名なものは、「エヌセイズ潰瘍」です。胃の壁を守る成分であるプロスタグランジンを減少させることで、胃炎、胃潰瘍が発生しやすくなります。
アスピリンを含むNSAIDsを服用するときは、胃薬と一緒に飲むか、多めの水で服用するようにしましょう。
イブプロフェン
イブプロフェンもアスピリンと同じNSAIDs であり、非ピリン系です。
解熱、鎮痛作用も持ちますが、とくに消炎作用にすぐれていることがメリット。そのため、のどの炎症によく用いられ、「のどの風邪に効く!」と宣伝される総合風邪薬の多くにイブプロフェンが配合されています。
また、子宮への移行性も高いため、生理痛に用いられることも多いです。
気をつけること
市販薬は15歳未満の小児には使えません。
また、腎臓に負担をかけることがあり、連用は注意。
市販薬の例
・イブA錠
・ナロンエース
・ノーシンピュア
ロキソプロフェンナトリウム水和物
ロキソプロフェンは「ロキソニン」という名称で医療現場でよく用いられる有名な薬です。最近、ドラッグストア等でも購入できるようになりました。
ロキソプロフェンもNSAIDsに分類されますがその効果はアスピリン、イブプロフェンよりも高いとされています。
気をつけること
ロキソプロフェンはプロドラッグと呼ばれ、胃を荒らしやすい構造にはなっています。
しかし、胃が弱い人、過去に胃潰瘍になったことのある人は十分注意が必要です。
市販薬の例
・ロキソニンS
イソプロピルアンチピリン
市販薬で唯一のピリン系。
特に熱を下げる効果が高いため、痛み止めよりも解熱剤として用いられることが多いです。
気をつけること
やはり最も注意が必要なことは「ピリン疹」といわれるアレルギーです。イソプロピルアンチピリンの場合は少ないとされていますが、それでも一度アレルギーをやったら避けましょう。
市販薬の例
・ナロン錠
・サリドンエース
市販薬が効かなければ受診しましょう
これまで挙げた鎮痛薬は、あくまで片頭痛の痛みを緩和するものであり、完治させるものではありません。
鎮痛薬を用いてもまったくよくならない、ひどくなるようであれば、すぐに受診しましょう。
医療機関では「トリプタン系」と呼ばれる薬を用いて、難治性の片頭痛の治療を行うことがあります。