資格をとれば安定なのか?
「薬剤師さんていいですよね。給料高いし安定してるから」
私が薬剤師だと聞いたとき、みなさんよくこう言います。
なぜか「薬剤師は高年収で安定」と思われているのですが、そんなことぜんぜんな
いんですよ。
パートの薬剤師は確かに時給高めでしょう(2000円くらい?)
でも、正社員の薬剤師は一般的なサラリーマンの平均年収と変わりません。
現在は比較的安定していますが、それは薬剤師が不足しているからです。
需要に対して供給が追いついてないから価値がある。ただそれだけです。
今後、間違いなく薬剤師は供給過多になるでしょう。2003年以降、薬科大学の新設ラッシュが続き、全国46校から70校へ急増してしまいました。
歯科医師しかり、法科大学院しかり。定員を増やして需要と供給のバランスがとれた例ってあるんでしょうか?。医師会がTPPや医学部新設に猛烈に反対するのは、医師の希少性と地位を守るためなんですよね。
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ちまたに溢れる資格スクール
日本の景気低迷、雇用不安定といった社会情勢を受けてか、ちまたでは資格スクールが盛んですよね。
公務員に始まり、税理士、行政書士、宅建、中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーといった有名資格から、色彩検定、空間コーディネーターとか聞いたことのないような資格までいろいろあります。
これらを取得すれば良い仕事に就けるのでしょうか?
会社で評価されるのでしょうか?
会社は資格を評価するのか?
難関資格を取得することは、評価の一つの基準ではあります。
でも、会社が求めていることって「何ができるか」なんですよね。
「あなたがどんな資格を持っているかは興味がない。何ができるのか。何をもって会社に利益をもたらしてくれるのか」
これが会社側の本音です。
キャリア採用のプロたちが教える 後悔しない転職 7つの法則では、失敗する転職者の特徴として「資格を取れば市場価値が上がると勘違いしている」と述べています。
会社が欲しい人材って「実際に業務をうまく回せる人」なんです。
高学歴でもコミュニケーション能力が低ければ、周りにストレスを与えます。
たくさんの資格を取得していても、実務ができなければ使えません。
考えてもみてください。「私はこんなに資格をもっているんです」と鳴り物入りで入社したのに実務経験ゼロだったら腹たちますよね。
おいおい、ちょっと待ってくれよ。全然仕事できないじゃん、とがっかりします。
不安だから肩書が欲しい
資格取得に走る人って、結局自分の仕事に自信がない人が多い。
自信がないから、分かりやすい肩書を求めてしまう。
これはビジネス書コレクターと通じるものがあります。
出版不況と言われる厳しい出版業界にあって、唯一ビジネス書の売上は伸びています。とくに成功本と呼ばれる「こうすればあなたも成功できる!」とうたった本は、著者が有名だと爆発的に売れたりします。
なぜなのか。
これは「人生が不安な人が増えているから」なんです。
ビジネス書は読む人をある種の洗脳状態にさせ、高揚させます。
「やればできる」
「明日から人生がかわる」
でも、本を読んでいい気持ちになって寝たら、翌日鏡の前にいるのは「いつもの自分」です。
不安な人をターゲットにしたビジネス
バブル崩壊後の2000年くらいから「不安なビジネスマンをターゲットにしたビジネス」が増えてきました。
それが、資格スクールだったりビジネス書です。成功者と呼ばれる人が出版する本が爆発的に売れたりしますが、その本の価値は「著者が成功者である」ということだけです。
一般人がそれを読んで得るのは「いい気持ち」だけ。
資格や成功本は「心の弱った人をターゲットにしたビジネス」なんだと、私達はもう少し認識すべきだと思います。
仕事は試行錯誤の連続しかない
結局、仕事で結果を出して認められるためには、行動と試行錯誤しかないです。
仮説を立てて行動して、結果を検証する。そこから得られた仮説をまた実行して検証する。PDCAをひたすら回して考え続けるしかない。
実務経験を増やして増やし続ける。しんどいですがこれしかありません。
一つの資格やビジネス書で人生変わるほど簡単じゃないですよ。たまに「ビジネス書で人生変わった」という人がいますが、それは宣伝か、ビジネス書を読んだ後に膨大な仕事をしたかです。現場で汗をかかずして、仕事は身につかないですよね。
世の中はもともと不安定
人類が生まれてから今日まで、不安のない時代があったでしょうか?
戦争に疫病、飢饉に天変地異と、世の中は不安・不満のオンパレード。江戸時代や高度経済成長期が唯一安定していたといえますが、歴史からみたらとても特殊な時代なんです。
世の中ってもともと不安定なんですよ。不安定なのに強引に安定を求めてしまう。だからストレスが溜まるんです。
不安定な世の中を上手く乗りこなす柔軟性が、これからの時代に求められているのではないでしょうか。