手足が腐るってかなりヤバイ病気なんじゃ…
人肌恋しい季節になりましたが、みなさん元気でお過ごしでしょうか?
私ももう30代。20代の頃のように「オールして翌日仕事」のような無理はできませんし、原因不明のお股の痛みに苦しめられていたりします。
健康って本当に大事ですよね。
ところで、最近ヤフーニュースで話題になっている「人食いバクテリア」。聞いたことありますか?
「何それ!?」て感じですよね。
「何そのおどろおどろしいネーミングは…」と不安になります。
私は薬剤師で医療従事者ですけど、こんなの初めて聞きましたよ。
人喰いバクテリアって何なの?
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人食いバクテリアって何?
正式には「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」といいます。
突発的に発症して、手足の壊死(腐る)などの症状が急速に進んで致死率も高いです。
みるみるうちに皮膚が腐って黒くなり、何かに食べられたような状態になるため「人食いバクテリア」と言われるのでしょう。
この人食いバクテリアの患者数が、2015年現在過去最多になったため、メディアで大きく取り上げられたわけですね。
国立感染症研究所によると、患者数は2014年が273人だったのに対し、2015年は8月までで291人にのぼっている。
人食いバクテリアの感染症は1987年に米国で初めて報告され、日本では1992年に最初の患者が報告されている。
それ以降は毎年100~200人が確認され、そのうち約30%が死亡している。参考:ファーマトリビューン 11月号
致死率30%って……かなりヤバイ感染症ですね。
人食いバクテリアの症状は?
最初は風邪っぽい
最初は発熱や悪寒など風邪のような症状がでます。手足の痛みなども見られるため「インフルエンザかな?」と思う人もいるかもしれません。
急激に進む症状
この感染症の怖さは「時間的余裕がない」ということです。
病状が急激に進行して、筋肉の周辺組織が壊死を起こしていきます。さらに進行すると血圧低下や多臓器不全からショック状態にいたり、最悪死にます。
発病から死亡まで数十時間しかかからないことも少なくありません。恐ろしいですね。
また、人食いバクテリアは人を選びません。老若男女に幅広く発症します。
通常、感染症は免疫力が低下している高齢者が重症化しやすいのですが、免疫不全のような基礎疾患がない若者でも普通に感染します。
人食いバクテリアの原因は?
人食いバクテリアの原因になる病原体を調べてみると、主な病原体は「A群溶血性レンサ球菌」でした。
この菌って、実はどこにでもいるような菌なんですよ。
よく風邪の原因になる菌であり、咽頭炎や扁桃炎のポピュラーな起因菌なんです。多くは小児が感染します。
しかし、まれに血液中や筋肉、肺などにレンサ球菌が侵入すると、劇症化することがあります。
これが、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」(人食いバクテリア)の発生するメカニズムと言われています。
人食いバクテリアの治療法は?
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の治療は、早期診断・治療が本当に大事です。
少しでも上記のような以上がみられたら、すぐに医療機関を受診するべきです。
血液中に細菌が侵入して重症化するというメカニズムからみて、敗血症の治療と同じように考えるみたいです。
薬物治療が原則であり、ペニシリン系という抗菌薬を高用量投与し、毒素産生を抑えるためグリンダマイシンの併用も行われることもあります。
人食いバクテリアの予防法
原因菌であるレンサ球菌は、どこにでもいる菌です。
そのため、現時点では人食いバクテリアを完全に予防する方法はありません。
できる対策としては、
- 免疫力を上げる
- 傷口をしっかりケアする
くらいでしょう。
免疫力を上げる
人食いバクテリアは健常人かどうかに関わらず発症します。
ただ、原因が細菌であることから、やはり免疫力が低下している人のほうが発症しやすいことは予想できます。
- しっかり栄養と睡眠を摂る
- 傷ができたら、流水でしっかり洗う
- 食事前の手洗い・うがいの徹底
こういった基本的なことをちゃんとやるしかありません。
免疫力が落ちる病気(糖尿病、がんなどの生活習慣病、肝障害、腎障害)や、免疫抑制剤を服用している人、妊婦さんはとくに注意すべきです。
アルコールの摂取量が多いと肝機能が低下し、睡眠も浅くなりがちなため免疫力が低下します。お酒をよく飲む人も要注意ですね。
傷口のケア
散歩やトレッキングなどで怪我をしたら、小さな傷でもしっかりとケアすることが大切です。
- 異常な手足の痛みがある
- 手足の痛み、腫れに加えて発熱、だるさもある
- 手足が赤黒くなってきた
などなど「普通じゃない!」症状が起きたら、すぐに受診しましょう。
まとめ
- 人食いバクテリアは「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」のこと
- 原因菌である「A群溶血性レンサ球菌」は扁桃炎、咽頭炎の起因菌となりうるポピュラーな細菌
- 急な発熱、手足の腫れ・痛み、赤黒くなってきたなど異常がみられたらすぐに受診すること
- 免疫力を下げないため規則正しい生活と栄養を摂る。手洗い・うがい、傷口のケアもしっかりと